月見る虎図
ほうずき、【灯篭草】とうろうそうが色づき、
みんみん蝉が鳴き始めました。

どうした風の吹き回しか、また北斎ごとです。

 次号の『豊洲スタイル』の原稿準備に入りました。次回の「歳時あそび」は「お月見」、中秋の名月について書きます。私たち日本人は、古来より「月」の満ち欠けで季節を感じ暮らしてきました。

 何気なく資料をまとめていたら、また北斎の画にあたりました。北斎90歳の作品です。月を見る虎は北斎自身だといいます。宇宙に神秘を感じていた北斎、最期は絵筆を「月」に馳せたのかもしれません。虎をモティーフにしたのは、西の方角を守る聖獣「白虎」に宇宙での神聖的な境地を見出したのでしょうか。人生を「陰陽五行」で表すのなら、方角は「西」、季節は「秋」、人生の晩年を意味します。北斎ならではの掛け合わせがあるのではないかと思いました。
今年は寅年ということもあり、親近感をおぼえました。

方角を守る聖獣「四神」
東(春)=青竜 南(夏)=朱雀
西(秋)=白虎 北(冬)=玄武
ex キトラ古墳壁画四神

 北斎は亡くなる90歳の時、三つ虎の絵を描き残しました。「雨中の虎」「雪中虎図」「月見る虎図」 (1849年)中でも、はかなさと神秘的な浮遊感を感じる「雪中虎図」に最期の清々しい落ち着きを感じ、好きです。